ユニクロを越えた、中国発激安ブランドSHEIN(シーイン・希音)のパクリ疑惑とは

最近、よく聞く中国発激安ブランドSHEIN(シーイン・希音)。

いままでは、実店舗を持たずに、専らスマホでアプリをダウンロードして、電子決済で買う、というスタイルだったそうです。

ところが、10月22日、大阪・心斎橋に、「期間限定の実店舗」をオープンさせ、オープン当日には、4,000人以上もの行列で大盛況。

11月13日には、東京・原宿にも「世界初の常設店」をオープンさせ、若い女性層に大人気のようです。

ところが、やはり中国の企業らしく、パクリ疑惑でも注目を浴びています。

良くも悪くも、これから、SHEIN(シーイン・希音)はいろいろなところで話題になると思いますので、少し調べてみました。

中国の企業の中でもかなり特徴的な点があることに気づきます。

まずは、会社と経営者の概略を確認して、急成長の秘密とパクリ疑惑の点を、マーケティングの観点で整理してみたいと思います。

目次

中国発激安ブランドSHEIN(シーイン・希音)とは

会社の概要

非上場企業なので正確な数字は公表されていないようですが、中国メディアの報道によれば、今年上半期の売上高は、前年比5割増しの約2兆2,000億円の中国のファッションブランドです。

ユニクロの今年8月期決算が、年間売上高2兆3,011億円だから、ユニクロをすでに追い越す規模です。

経営者の人物像

SHEIN(シーイン・希音)のCEOは、1984年の生まれということなので、39歳という若さです。

2007年に中国の大学を卒業して、Googleの検索順位を上げるSEO(検索エンジン最適化)の会社で仕事をしていた、というのが、興味深いですね。

Googleは、2010年に共産党政権と「検索の自由」を巡って対立し、中国から撤退しています。

そして、翌年の2011年、日本では東日本大震災があった年が、この会社のスタートの年みたいです。

ちなみに、iphoneの発売時期と重ね合わせると、iphoneの存在が大きく影響しているのだと思います。

  • iPhone(初代)・・・2007年に発売
  • iPhone 3G ・・・・・2008年に発売
  • iPhone 3GS・・・・・2009年に発売
  • iPhone 4・・・・・・2010年に発売
  • iPhone 4S ・・・・・2011年に発売され、3日間で400万台を突破した。

同世代の大富豪の経営者と異なる「謎の経営者」

会社は、SNSを活用して成功しているのに、自らは、全く発信していなくて、発言はおろか、顔写真一枚出たことがないそうです。

大富豪なのに、謎の人物、いうのが、SHEIN(シーイン・希音)のCEOの姿です。

会社は非上場だし、中国国内では、目立っていないのは、「出る杭は打たれる」すなわち、「前に出る創業者」というのは、賞賛を受ける代わりに、非難や嫉妬も浴びやすいですからね。

特にいまの中国は、習近平主席が「共同富裕」をスローガンに掲げており、目をつけられると怖いという事情があるのかもしれません。

「経営者の顔が見えない」のは、中国の「政治リスク」を考慮しているからのような気がします。

Webマーケティング的な観点で整理してみたSHEIN(シーイン・希音)の大躍進の秘密

どこで売るか

市場は、中国国内には目もくれず、世界150もの国や地域で展開しています。

これは、中国政府に目をつけられるのを避ける意味があるかもしれませんが、これは、時代を先取りした発想だと思います。

もともと、中国の「14億人の巨大市場」「4億人の中間層」という魅力にひかれて、中国を相手にビジネス展開をしてきた中で、世界に目を向けて「中国市場完全無視」というのは、すごいことだと思います。

どうやって売るか

実店舗を持たないで売る、というスタイルです。

スマホでアプリをダウンロードして、電子決済で買うと、商品は自宅に送られてくる、という流れです。

通販で気になる送料については、2000円以上買えば、送料無料ということなので、なるほど、それならば、人気はでるな、と思いました。

何を売るか

ファッション関係がメインのようですが、パソコンなどのように壊れる心配もなく、重量も軽いので、通販に適した商材を売っていると思います。

いつ売るか

売れ筋の人気商品が売れるのはいつか?

「今」でしょ!

企画から発売までの期間を『超短期化』して、企画からわずか3日~数週間で、発売に持っていくそうです。

『売れ筋』と判断したファッションを、次々に発注・生産し、アプリに並べていく、というのですから、それは、売れますよね。

誰に売るか?

原宿で何十人も列を作って入場を待っていたのは、女子高生やその世代の若い女の子たちだったそうです。

SNSを通じて、売れ筋の情報が、またたく間に広まり、ファッションに関心のある世代で、おしゃれに敏感な女性たちがターゲットの中心なのではないか、と思います。

「ファッション業界では、ネット販売は試着ができないので難しい」のに大躍進の秘密

タイミング的にコロナ禍も大躍進の理由の一つだと思います。

実店舗での販売は、本当に厳しかったですからね。

ただ、SHEIN(シーイン・希音)の大躍進の一番の鍵は、AIの活用にあるんじゃないかと思いました。

どういうことかというと、TikTokやインスタグラム、YouTubeや、企業のWebサイトや個人のブログなどに、日々アップされる動画や画像に登場する物品は、売れ筋の情報の宝の山だと思います。

この世界中から集まる情報を、AIの力で、くまなくスキャンし、その傾向を分析すれば、売れ筋を素早く製品化できるので、大躍進は間違いない、ということだと思います。

SHEIN(シーイン・希音)の大躍進の秘密の一番の鍵は、AI(人工知能)の大活躍にあると思います。

AI(人工知能)の活用とパクリ疑惑の関係

SHEIN(シーイン・希音)の大躍進の秘密が、AI(人工知能)を駆使して、少量多品種のスピード感で、毎日、3,000点~5,000点もの新作が登場しては消えていく、という状況を考えると、パクリ疑惑が出るのは、必然なんだと思います。

というのは、AI(人工知能)の仕事、役割は、世界中の商品の中から人気商品、売れ筋商品を見つけて、それをパクルだと思いますもの。

一般の企業が、手間と時間と労力と人の知恵をかけて、やっと商品化した商品の中には、当然、ヒット商品もあれば、失敗の商品もあります。

それを、SHEIN(シーイン・希音)は、AI(人工知能)の手を借りて、ヒット商品だけをかすめ取る、おいしいところだけをもらう、という商売をしている、と感じてしまいました。

そう考えると、各地で裁判が起きるのは、もっともな話しだと思いました。

消費者からすれば、いい商品を安く買える、こんないいことはないと思いますが、日々、まじめに商品開発をしている企業にとっては、たまったものではないと思いますからね。

AI(人工知能)の活用ということで、面白いと思いながら記事をまとめていましたが、最後の最後には、結局、正直者を犠牲にして成功しているビジネスモデルなんではないか、すごい企業だけど、なんとも後味の悪い企業イメージとなってしまいました。

この先、「三方よし」の方向に進んでくれることを期待します。

ただ、AI(人工知能)の活用は、多いに楽しみな分野だと、改めて気づかせてもらいました。

最初に思っていたことと少し違った結論になってしまいましたが、この記事が参考になれば幸です。

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